弔辞について

弔辞とは

弔辞とは故人に贈るお別れの言葉です。

葬儀・告別式では、仏式・神式・キリスト教式を問わず、弔辞を依頼されることがあります。弔辞は故人と特に親しかった人にお願いしますので、依頼されたら快く引き受けるのが礼儀といえます。

弔辞の注意点

弔辞を朗読するのは3人〜5人前後のことが多く、一人あたりの奉読時間は3~4分、文字数にして800字~1000字程度が目安とされています。

弔辞は、故人の生前中の功績を称え、その死を悼むとともに、遺族の悲しみを慰めるためのものです。いたずらに美辞麗句を並べた形式的な文章にならないよう気をつけ、エピソードをちりばめながら心情を表現することがとても大切です。

故人の欠点や失敗談などを長々と述べるのは遺族や関係者の心情を害しますので、マイナスの部分には触れないようにいたしましょう。また、忌み言葉にも十分注意しましょう。宗教・宗派によって言葉遣いに注意が必要になります。可能であれば事前に宗教・宗派を確認しておきましょう。

氏名、名称、年月日、故人の経歴などに間違いがないように注意が必要です。 朗読する時は、ゆっくり、はっきりと読み上げます。早口の弔辞は聞き取りにくく軽い印象を与てしまいますので、気をつけましょう。

弔辞の書き方

弔辞は、大判の奉書紙か、巻紙に毛筆で書くのが正式です。代筆であっても構いません。

※個人葬では、便箋に万年筆で書き、白い封筒に入れるという略式のケースが増えてきています。略式の場合、二重の封筒ではなく一重のものを使います。二重の封筒は「不幸が繰り返す」と言われていて、縁起が悪いとされています。

まず、冒頭には巻紙の端から10cmほどの余白をつけ、行間は本文中の1文字分あけると奇麗に見えます。

弔辞の構成としましては、1.はじめの言葉、2.驚きと悲しみの言葉、3.人柄を偲ぶ、4.功績の紹介、5.誓いの言葉、6.励ましと慰めの言葉、7.結びの言葉、本文を書き終えたら改行し、少し下げた位置に年月日を入れます。さらに改行し、年月日の位置より低い位置に署名します。

また、署名から6~8cmの余白をつけて切り落とし、切り落としたら方から頭の方へたたみ上げていきます。表包みは同じ奉書紙を使います。奉書を幅半分に切ったものを左前三つ折りにします。表書きは「弔辞」と毛筆で書きます。

弔辞の読み方

読み方の手順を紹介致します。

1.司会者より名前を呼ばれたら起立し、遺族に向かって一礼して祭壇に進み出ます。

2.そして左手で「弔辞」と書いた面が上になるように持ち、右手で本文を取り出し、表包みを畳んで下にし、右手で弔辞を開きます。

3.遺影に向かい一礼します。

4.両手で捧げ持ち、ゆっくりとはっきりと読み上げます。

5.読み終えたら、本文を表包みに戻し、表書きを霊前に向けて卓上に捧げます。

6.遺影に一礼した後、遺族に一礼し、席に戻ります。

気をつけたい言葉遣い(忌み言葉)

忌み言葉(いみことば)とは、その場で使ってはいけない言葉のことであり、忌みはばかって使用を避ける言葉です。通夜や葬儀の席ではもちろんのこと、弔辞・弔電・お悔やみの言葉でも使用しないようご注意ください。

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・不幸なことは二度と繰り返したくない気持ちから、重ね言葉や繰り返しを意味する言葉を避けます。(例)重々、重ね重ね、度々、返す返す、しばしば、再々、再三、再三再四、またまた、続く、引続き、更に、再び、追伸

・それ自体が不吉もしくは悪いことを連想させる言葉を避けます。

(例)苦しむ、朽ちる、倒れる、浮ばれない

・直接的な表現は婉曲的な表現に言い換えます。(例)死、死亡 ⇒ 急逝、逝去、永眠、世を去る、逝く、(若死の場合)夭折、早世
死亡の知らせ ⇒ 訃報、悲報

・宗教・宗派により使い分ける言葉

冥福・・・仏教と神道で使用(浄土真宗、日蓮宗の一部では使用しません)

成仏、供養・・・仏教のみ

帰幽、泉下・・・神道のみ

召天、昇天、帰天、神に召される・・・キリスト教のみ

浄土真宗では置き替えたい言葉

草葉の陰、黄泉、天国、冥上 ⇒ 浄土、彼の土、西方浄土、極楽浄土

永眠する、眠る、旅立つ ⇒ 往生する、浄土へ還る

冥福を祈る ⇒ 偲んで念仏する、悼む

御霊前(不祝儀袋) ⇒ 御佛前、御華料、御香典

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弔辞は故人に対して別れの言葉を告げる最後の機会です。何を伝えたいのか、自分がどう思っているのかをしっかりと見つめ直した上で想いを伝えるようにいたしましょう。思い出が深いほど辛く悲しいものではありますが、故人のためにも自分のためにも悔いの残らないように言葉にいたしましょう。