お食い初めの儀式について
お食い初めの儀式について
「お食い初め」は、お子様の健やかな成長と長寿を願う慣習です。儀式なので、一応のしきたり、やり方があります。お食い初めの準備や方法について、まとめてみました。
お食い初めの「儀式」は、長寿にあやかるという意味から、身内で最年長の人が「養い親」となって行いますが、現実的には祖父母に頼むことがもっとも多いようです。方法としては、男の子なら男性が、女の子なら女性が養い親となり、自分の膝の上に赤ちゃんを乗せ、その年の「恵方」の方角に向かって食べさせる真似をします。その後は「歯固めの儀」をします。
これに使う福石は本来、産土神社か、川原で拾ってくるのがよいようです。儀式で使った後は半紙に包んでへその緒と一緒に保存しておくのがよいとか、元の場所に戻すのがよいとか、色々な説がある様です。
儀式の順番
「お食い初めの儀式」は、赤ちゃんに食べさせる真似をすることで行います。男の子なら男性が、女の子なら女性が養い親となり、自分の膝の上に赤ちゃんを乗せ、その年の「恵方」の方角に向かって食べさせる真似をします。食べさせる順番は、地域やそのおうちによっても色々とあるようですが、「ご飯、吸い物、ご飯、魚、ご飯、吸い物」を3回繰り返す、というのが多いようです。その後、「歯固め」の儀式をおこないます。
歯固めの儀式は、歯固めの石に箸を触れてからその箸を赤ちゃんの歯茎にそっとあてて、「石のように丈夫な歯が生えるように」とお願いをします。
無事に歯固めの儀式を終えたら、大人たちでお食事を始めてください。
歯固めの儀式の歴史と由来
歯固めの歴史ですが、そもそも平安時代初期に中国から伝わったようです。 その昔、中国では、歯=齢(よわい)と解釈して、歯を固める=齢を固めることが長寿のもとになると考えたことから、正月に膠牙餳(こうがとう)という堅いアメをなめて、歯を丈夫にし、長寿を祈るならわしがありました。 ここから、日本でも公家の階級で、「年歯(端)月」と言われる正月三が日の間、鹿、鳥、猪、雉子などのジビエをはじめ押鮎、そして大根、瓜などの野菜と一緒に鏡餅を食べる風習が成立しました。
「歯固め」の行事が行われるようになったのは、平安時代初期と考えられ、たとえば10世紀に書かれた紀貫之の『土佐日記』にも、「正月三が日に長寿を祈って大根、瓜、押鮎などを食べる行事」の意味で「歯固め」の文字がありますし、紫式部の『源氏物語』の「初音」にも、「緑色の焼き物の上に長寿の譲り葉を敷き、その上に邪気を払う真菰(まこも)・大根・押し鮎・焼き鳥・猪肉などを歯固めの食とし、これに屠蘇(とそ)を加える」という文章があります。
この頃は宮中だけで行われていた歯固めの行事がやがて民間に伝わり、正月に雑煮餅を食べるなどの風習へと発展し変化していったようです。神様に供えた鏡餅そのもののことを「歯固め」という地方も多くあり、鏡餅を「凍(かが)み餅」にしたり、かき餅やあられにしたりして夏季まで保存し、6月1日に食べる、という風習もかなり広く行われました。
お正月に神様に供えたものには神秘の霊力が宿っているので、労働の激しい夏季まで保存し、もう一度その力に頼ろうしていた様です。
現代では、赤ちゃんの健やかな成長を喜び願う儀式として定着した「歯固め」ですが、もともとは大人たちが正月初めに、歯を丈夫にするために堅いものを食べて長寿を願ったり、神様の力の宿ったお餅を夏に食べてそのパワーにあやかろうとしたものだった説もあります。